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私は大泣きをして落ち着くとしっかりと座り直し、男性にお礼を言った。
「ありがとう。少し落ち着いたわ。私は西園寺雛。今は大学2年生。あなたは?」
「私は、閻。」
端的な自己紹介にクスクスと笑ってしまったが、私は一番聞きたいことを閻さんに聞いた。
「閻さんっていうのね。それで、ここはあの世なのかしら?」
私は既に泣いて吹っ切れていたため、はっきりとした声で答えた。その言葉に閻さんは妖艶な笑みをこぼしながら私を見つめた。
「雛。お前は強いヤツだな。自分が死んだかもとすぐ受け入れるなんて初めてそんなヤツに出会ったよ。私は説明が苦手でな。ロク。お前が説明してやれ。」
「はい。」
横に控えていたメガネをかけたインテリイケメンがスッと立ってこちらに来ると、私の前に座った。
「では、私がご説明致しましょう。ここは、現世とあの世の間の狭間の場所でございます。」
「えっ?じゃあ、三途の川的なところ?」
その私のザックリとした質問に対してロクさんははぁーっとため息をつき、頭を抱えると改めてこちらを向き直しもう一度話始まった。
「三途の川とは別です。三途の川は、既にお亡くなりになっていて、その後の審判を受けるために渡る川です。」
「ん?っていうことは私はまだ死んで無いってこと?」
「おお。バカかと思いましたが、意外と頭は回るのですね。」
ロクさんは、ニヤニヤ嫌な笑みを浮かべ、その通りと言わんばかりに頷いた。
「でも、私川のほとりを歩いてきたわよ。」
その瞬間、ロクさんだけではなく、閻さんや後ろにいる筋肉質の男性まで驚いた顔をした。
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