潜む恐怖

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 夜の街に吹く風に揺られ、のぼり旗がそよぐ。24時間営業のレストランの横をとぼとぼと歩いてく。  街灯や店から漏れる光が、雨に濡れた道をあでやかに塗りたくっていた。靴は水を吸って重くなっている。こんな重かったか?  靴の中にまで水が染み込んでいるから当然なのかもしれないが、ここまで重いと感じたことはない気がする。ちゃんと眠れていない上にバイトをこなしたんだから、いつもより疲れを感じてしまうのも無理はないのだろう。  靴がジャリジャリと地面を鳴らす。水を吸い切った砂地を進み、俺は建屋の中に入った。  俺は椅子に座らず、ポケットから取りだした。右手の中に転がる木の棒。これさえなければいいんだ。そうすれば、俺は安眠を迎えることができる。  俺は公園のフェンスの向こうに目をやる。2メートルの高さはある網フェンスの向こうには集合住宅の駐車場があり、車がまばらに止まっていた。俺は少し下がり、助走をつけておもいっきり右手を振りかぶって投げた。  フェンスを越え、木の棒はカランと音を立てて消える。少しだけスッキリした。俺は息をこぼし、曇り空の夜の公園を去っていく。
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