夜の出会い

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夜の出会い

 活気あふれる店内。お客はテーブルに並んだ料理を囲んで、アルコールを飲み交わしている。酒気をまとう息と陽気な声が各個室から漏れていた。  こんな時間にシフトを入れたかったわけじゃない。都合上この時間に入るしかなかったのだ。  各個室に出向き、お客さんの注文をうかがいながら、携行するハンディターミナルで厨房に伝える。料理ができあがったら、キッチンに設置されたディスプレイからハンディターミナルに伝達され、注文を受けた部屋へ運んでいく。運び終わったら提供完了をハンディターミナルで送信する。  更にレジや食べ終わった食器を運んだり、テーブルを拭いたり。食洗器だけじゃ間に合わないことがあると、キッチンから食器洗いや皿だしで手伝いに駆りだされたりと、忙しさに追われていた。  あわただしく行き交うバイト仲間とお客の間を縫いながら、迷路のようなフロアの廊下を行き来する。これらのことを、閉店時間の23時まで続けた。
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