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瀧と言った男は、かなりのイケメンだ。これは確かにホールが欲しがるだろう……ホールで店長が昨日、そうぼやいていたのを聞いた。
「今日からお前の教育係!」
「よろしくお願いします」
働き始めて3年、俺もついに教育係を任された。瀧が初めての俺の教え子になる。そう思ったらなんだか嬉しくてワクワクした。
平日のお昼前はかなりお店が空いているし、簡単に勤務表のことや休憩時間などのことをざっと説明して、ホールからのオーダーを待つ。
「……佐久間さんは何年やってるんですか?」
なかなか来ないオーダーを待っていたら、瀧にそう質問された。にこっと笑う瀧のイケメンオーラが眩しい……
「3年目だよ」
「長いんですね。大学生ですか?」
「ううん、俺ここの社員なんだ!」
「そうなんですか」
まだ瀧と話して少ししか経っていないけど、感じの良いやつだ。先輩として、とことん可愛がってあげたい。
「瀧は大学生?」
「はい、この近くの専門学校に通ってます」
「え! あの料理学校?」
「そうですよ」
「すげー! だからキッチンのバイト選んだんだ!」
どうやら瀧は、調理師の資格を取るまでの修行みたいなものを、このカフェで積みたいらしい。瀧みたいな人が調理師になったら、死ぬほどモテそうだ……
ならなくてもモテるだろうけど。
その後は、まずはドリンクの作り方から教えた。メロンソーダ、レモンスカッシュ、ココア、などなど。他にもいっぱいある。
瀧は物覚えがかなり早く、無駄な動きもないし手際も良い。
新人は大体洗い場を任されるが、これは……早くからドリンクも淹れられるようになるかもしれない。
瀧を見てそう思ったのが1日目。
そして、2日目になると……ドリンクはもう完璧に淹れられるようになっていた。
俺は社員だしほぼ毎日出勤だから、教え子の成長をそばで見られてとても嬉しい。
店長や主任も、瀧の仕事の早さに驚くと同時に、成長した時のことを考えてかなり胸を膨らませていた。
誰もが、瀧に期待をしている。愛想も良く顔もカッコイイから、キッチンスタッフ、ホールスタッフの女性陣からもかなりの人気もあった。
初めての教え子が瀧でよかった。そんなことを思い始めていた。
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