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「‥‥津川、お前の同級生、すごいイケメンだったじゃないか。芸能界にでも入れそうな」
「あ――、まぁ、はい。そうっすね‥‥」
純粋に感心したような田代の言葉に、津川はどこかおもしろくなさそうに答えている。
「あいつ、大学ん時から一人目立ってて、おいしいとこ全部かっさらってくタイプだったんすよね。何でも器用にこなせて、苦労とか無縁って感じの」
明らかに妬みのような言い草に、田代が「おいおい、嫉妬か?」と、苦笑交じりに茶化している。
津川は、「そんなんじゃないっすよ!」とムキになったかと思えば、急に皮肉めいた笑いをこぼした。
「‥‥まぁでも、ちょっとウケる。将来どんな大物になんだろうとか期待されてたのに、あんな色モノみたいなカフェで働いてるとか」
―――色モノみたいなカフェ、って。さっきまでは、蓮太郎や郁にも愛想良く、低姿勢に接していたのに、内心そんな風に思っていたのか。
郁が心の中でむっとしていると、田代がとがめるように、「おい、取材先の店をそんな風に言うなよ」と叱った。
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