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「‥‥でも確かに、お前と同級生ってことは学歴も良いし、他にも活躍の場はありそうなもんだけどな」
カメラマンの山中の言葉に、津川は、よくぞ聞いてくれたとでも言いたげに、嬉々として言葉を続けた。
「いや、それが、あいつ就活ん時しくってんすよ。就活真っただ中の時に、警察に捕まってしばらく出てこれなくて、面接とかも受けられなくて」
(――――え?警察‥‥?)
思わぬ話の展開に、郁は驚いて目を見開いた。
それに、就活の時にしくじってる、とはどういうことだろう。南央斗から聞いた、「内定先の会社が倒産した」という話とは、ちょっと食い違う気がする。
「え、おい、前科者か?だとしたらちょっとまずくないか、取材も」
「いや、結局証拠不十分で釈放されてますし、起訴もされてないんで。‥‥でも、その罪状ってのがまたヤバくて」
「何だよ、ヤバいって」
「あれっすよ。クスリ系」
(‥‥クスリ‥‥!?)
クスリ、っていうのはきっと、覚せい剤とか麻薬とか、そういう類のことを言っているのだろう。
まさか、南央斗がそんな。
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