ep.5 黄色い薔薇のおにいちゃん~太陽のような笑顔の裏側~

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「いらっしゃい。お呼び立てしてごめんなさいね、南央斗がいつもお世話になってます」 小綺麗なマンションの一室で、郁たちを出迎えてくれた南央斗の姉は、沙苗といった。 30代とは思えないほどに若々しく、南央斗に似て目鼻立ちの整った美人だ。 まだ二歳だという娘の凛を抱いて、笑顔で郁に頭を下げてくれるので、郁も慌てて挨拶を返した。 「南央斗、職場で迷惑かけてない?この子、お調子者だし、うるさいでしょ」 からかうようにそう言う沙苗に、南央斗は「もー、姉ちゃん、余計な事言わなくていいから!」と笑っている。 その様子を見ているだけでも、仲の良い姉弟であることが伝わってくる。 「子供服ってすぐサイズ合わなくなるし、処分にも困るのよね。必要な人に譲れるなら私も嬉しいわ」 そう言いながら、沙苗は郁を子供部屋に通してくれた。 「こっちはハロウィン用の衣装ね。ここらへんは学校に着て行けるんじゃないかしら」と、クローゼットから何着も子供服を出してくれる。 どれも状態も綺麗で、美玖が喜びそうな可愛らしいデザインだ。 「ありがとうございます‥‥!」とお礼を言いながら、沙苗から手渡される子供服を眺めていると、そばでじっと座っていた凛が、南央斗のほうによちよちと近寄り始めた。 「‥‥ん?凛、どうしたー?」 「なおくんと、あそぶ‥‥」 「遊びたい?じゃあ向こうでちょっと遊ぶか!‥‥ごめん郁ちゃん、俺ちょっと向こう行ってるね」 「はい!」 南央斗に抱っこされて嬉しそうな凛を見送りつつ、頂いた子供服をたたんで、紙袋に入れていく。 しばらく、沙苗と世間話をしながらそんな作業を続けていると、急に沙苗が、深刻そうな声音で郁に尋ねてきた。
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