ep.5 黄色い薔薇のおにいちゃん~太陽のような笑顔の裏側~

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「‥‥ねぇ。南央斗、最近職場でどうかしら。元気にやってる?」 「あっ‥‥はい!いつも明るく働いてらっしゃいます。南央斗さんがいると、お店の雰囲気もすごく明るくなるんです」 「そ、そう。‥‥危なそうなお友達とか、周りにいないかしら?」 「え‥‥?」 急にそんなことを聞かれて、郁は首を傾げて沙苗を見る。 沙苗は、郁から目を逸らしつつ、ぎこちない笑顔で言葉を続ける。 「‥‥ほら、あの子、社交的だから友達も多いんだけど、たまに変な友達がいるっていうか。あの子も人を信用し過ぎるところがあるから、心配で‥‥」 「はぁ‥‥」 沙苗に曖昧に相槌を打ちながら、郁は心がざわめくのを感じていた。 危なそうな友達、という言葉と、さっき津川から聞いたクスリの話は、容易に結びつくような気がする。 郁が何と答えたらいいかわからずにいると、沙苗は急に郁の両肩を掴んで、必死な様子で訴えかけてきた。 「‥‥ねぇ、あなた良い子そうだし、南央斗の周りに妙な友達がいたら、すぐ私に知らせてくれないかしら?」 「え‥‥えっと、あの、」 「心配なのよ。‥‥もうあの子にも、家族にもあんな思いさせたくないし‥‥」 「え‥‥?」 沙苗のあまりの必死な様子に、郁は尋常でないものを感じながら、思わず聞き返した。 あんな思いをさせたくない、とは、どういう意味だろう。 ―――やっぱり、南央斗には過去に、何か大きな問題があった?
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