1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
ある夏の思い出
アイスコーヒーが、おいしい季節になった。
外は朝から猛暑を奮い、セミが競って声を張り上げる。
エアコンの効いた部屋で、特にすることもなくただただスマートフォンを眺める。世の社会人たちは、こんな日にも働いていると思うと少しだけ優越感を感じる。「夏休み」という大義名分のもと、一日をダラダラと過ごせるのは学生の特権だ。
「といっても、あと数年でそれも終わりか。」
来年には就職活動を始め、卒論に追われる日々がやって来ると思うと、心置きなく遊べるのは今年までだ。…かといって、何か特別にしたいこともなく、こうしてダラダラするしかないのだが。
夏休みが始まる前に、そんなに親しくもない男友達が海に行こうと誘ってきた。私は即断った。目当ては私ではなく、友人の方だとわかっていたからだ。それに、簡単に女子の水着を拝めると思うなよ。
「あぁー、カレシ欲しーなーっ。」
スマホを眺めるのにも飽きて、大きく伸びをした。…お腹がすいた。
冷蔵庫を確認しても、酒と魚肉ソーセージしかない。
「あー、そういえば昨日食材使い切ったんだっけ。…やば、外出たくない。」
一瞬、デリバリーを考えたけど、貧乏学生がそんなにホイホイと頼んでいては金欠になってしまう。
かくなるうえは、仕方あるまい。
「で、うちに来たと。」
「いやー、かおりが同じアパートでよかったわー。」
「うちもそんなに食材ないよ?一緒にご飯買いに行く?」
「えーやだよー、外暑いーとーけーるー!」
同じアパートの一階に住むかおり宅を直撃し、駄々をこねる。かおりは頭を抱えながらも、あるもので何か作ると言ってキッチンに向かった。
「かおりはいいお嫁になるねぇ。」
「ユキも少しは自立しないとカレシできないよ。」
「いいもーん、かおりがいるからいいもーん。…あ、酒ならもってきたからおつまみ的な何か作って?」
「え?うわ、冷蔵庫の中酒ばっかになってるじゃん。どんだけ持ってきたのよ。」
「へへへー、今日は昼から飲むぞー!」
「お酒が飲めるからって、飲みすぎはよくないよ?私、誕生日まで飲めないんだから、あんまりとばしすぎないでね。」
「はーい。」
スマホをいじりながら、ご飯ができるのを待つ。かおりの部屋はいつ来ても整理整頓できていて、私の部屋とは大違いだ。
「今日の最高気温35度だってさー、そりゃ暑いわ。」
「んー?夏って感じだよね。今年はどっか遠出しないの?」
「今年は予定入ってないなー。そだ。どっか二人で旅行しようよ。温泉とかいいんじゃない?」
「温泉?暑いのに?」
「それがまたいいんじゃん。昼間に観光地周って夕方から温泉で汗流して、旅館で酒とうまいご飯。サイコーじゃん。」
「えー。私大きなお風呂苦手、知らない人いると緊張するし。」
「だったら部屋に露天風呂ついてるとことかいいんじゃない?あー、でも割高か。」
「先月始めたバイトは?続いてるの?」
「あそこは今月末で辞める!」
「…また続かなかったのね。今回は何?何が気に入らなかったの?」
「あー、店長が飲みに行こう飲みに行こうってうるさくてさー。断ったらシフト減らされた。」
「何それ、思いっきりパワハラじゃない!」
「かわいい子なら他にもいるのにねぇ。なーんか知らないけどおっさんにはモテるんよねー。」
「…日頃の生活態度じゃない?気が合いそうだと思ったのかもよ。」
「おっさんで悪かったな。」
キッチンからいい匂いがしてきた。酒を取りにキッチンにむかった。
「あ、ちょっと!」
「へへへー。」
冷蔵庫から取り出した缶チューハイをかおりの首元に当てる。
「邪魔しないの。」
「いいじゃん。…何作ってるのー?」
後ろからかおりに抱きついて、フライパンの中を見る。
「えー、もやし炒めじゃーん。お肉は?お・に・く!」
「働かざる者に肉は食わせぬ!」
「なにおう!」
「ちょ、やめてっ!くすぐらないで!あはは、わかった、わかったから!」
「それでよろしい。」
缶チューハイを開けて、その場で半分くらい一気に飲んだ。
「ぷはーっ!うまい!」
「相変わらずいい飲みっぷり。何味?」
「ん、白桃って書いてある。飲む?」
「だから飲めないって。あーあ、ユキが来るんだったらノンアル買っとくんだった。」
「自販機で炭酸買ってこようか?」
「んーいいよ、お茶あるし。それよりお皿取って。」
「はいよー。あれ、お肉は?」
「次作るよ。生姜焼きでいい?」
「いいねー、かおりのご飯はどれもおいしいから好き!」
「はいはい、もうちょっと待ってね。」
「それではいただきます。」
「いただきまーす!」
小さなテーブルにのせられた料理に箸を伸ばす。
「うんまーい!酒がすすむねー。」
「もう3本目でしょ、ちょっとペース早くない?」
「だいじょーぶ!酔いつぶれたら泊まってくから。」
「…ブレないなー。」
「そこが私の良いところ!あ、さっきの話の続きだけど、どっか旅行行こうよ。温泉温泉!」
「えー、お金ないんでしょ?無理しないの。」
「金はある!…といっても親の仕送りから生活削って貯めたお金だけど。」
「それ、卒業する時に親に返すって言ってたお金でしょ?」
「まぁ、そうだけど。でもでも、ちょっとくらいなら使っても良いかなーって。」
「それはちゃんと置いときなさい。…近場なら私が出してあげるから。」
「え、マジ!何、かおり神なの?」
「ちょっと臨時収入があったし、今月はかなり余裕があるから、ね。」
「もしかして、絵のお仕事の?」
「そ。編集さんが読み切りで載せてもいいって。」
「すごいじゃん!何それ、すごいじゃん!え、乾杯しよ、乾杯!」
かおりにグラスを持たせて、乾杯する。
「大げさだよ。私もまだ実感湧いてないし。…でも、読者の声次第で連載持てるかもしれないから、ちょっとドキドキしてるけど。」
「うわー!今からサインもらっとこうかなー。あ、先生って呼んでもいい?」
「やめてよー、恥ずかしい。」
「そういや、私かおりの漫画読んだことないけど、どんなの描いてるんだっけ。」
「え、あー…恋愛もの、かな。」
「まじか!」
「ユキに読まれるのは、ちょっと気恥ずかしいというか、なんというか…。」
「あー、もしかしてピュアピュアしてる系?」
「そう!そんな感じ!」
「わたしそれ系統苦手だからなー。どっちかというと少年漫画の方が好きだし。…あ、こういうのがおっさんウケするのか。」
「あはは、そうかもね。」
しばらく酒を飲みながらご飯をたべた。かおりが旅費を出してくれるというのなら、私がプランをしっかりたてなければと、ネットで近場の温泉を検索しまくった。
「あ、こことかいいんじゃない?部屋に露天風呂はないけど、貸し切り露天風呂はあるみたい。利用料1000円だって。」
「んー、どれどれ…。ちょ、ユキ酒くさっ!」
私のスマホをのぞき込んで来たかおりが、しかめ面になった。
「はははー。かおりはどんな顔もかわいいねぇ。」
「もう、へんなこと言わないでよ。ちょっと酔いすぎじゃない?」
「君かわいいねー、おじさんチューしたくなるかも。」
「はいはい。それで、どのへんなの?…へー、高速バスで片道1時間くらいかー。」
「この辺、温泉以外にも肉料理がおいしい店とか、フルーツタルトが有名なパティスリーがあるんだって。…肉。」
「この店、前にテレビで見たことあるかも。…いいね、ここにする?」
「そだねー。…あ、お金大丈夫?一泊でも値段これくらいするんだけど。」
「んー…これくらいなら二泊でも大丈夫だよ。どうする、二泊にする?」
「え、さすがにそれは、空気読めない私でも気が引けるっていうか。」
「いいのいいの。その分、ちゃんとエスコートしてね。」
「はい!頑張ります!」
ご飯を食べ終えて、しばらくテレビを見たりして過ごした。
酒はもう6本目になっていた。
「ちょっと、本格的に飲みすぎよ。それで最後ね。」
「えーいいじゃん。あともう一本だけー。」
「そうやってズルズル飲みすぎるんだから。今日は本当に止めときな?」
「うらー、もっと酒よこせー。」
「もう。飲んだくれなんだから。ほんとにそんなんじゃカレシできないよ?」
「カレシかーっ、あんなもん幻想だわ。今まで男にときめいたことないもん。」
「そんなこと言って、小学校ぐらいの時にはスポーツできる男の子見てキャーキャー言ってたんでしょ?」
「んー…、ないな。私スポーツそこそこできたから、クラスの男子はライバルくらいにしか見てなかったもん。あー、恋したいなー。」
「恋か、…普通の恋ってなんだろね。」
「お、なんだなんだ、かおりはアブナイ恋がお好き?」
「そうじゃなくて、普通の、男女の恋ってどんなのかなーって思ってね。」
「そういうのはかおりの方が得意なんじゃない?漫画もそれ系描いてるんでしょ?」
「まぁ、ね。でも参考までに、ユキの恋愛観教えてよ。」
「私?…何だろなー、ホントにそういう経験ないからなー。私が男なら、かおりを嫁にするんだけどなー。女の私が選ぶ男…。こう、包容力がある…違うな…余裕がある…これも違うか…あ、一緒に納豆食えるやつがいい。」
「え…納豆?」
「ほら、納豆食う絵面って、なんか嫌じゃない?イケメンなのに、納豆食って口から糸引いてるの想像してみ?なんか、うわぁ、ってならない?イケメンなのにその絵面って…みたいな。逆に私が納豆食ってて…あ、私めっちゃ納豆食うのヘタクソだから、絵面ヤバイんだけど…そんな私を見てると大抵の男はうわぁ、ってなると思うの。だから、お互いが納豆食ってても、うわぁってならないというか、気にならない関係?恥ずかしい場面を堂々とさらけ出せる関係?みたいになれる男がいい。」
「具体例が斬新だけど、なんとなく伝わったよ。でも、そっか…恥ずかしい場面を見せあえる関係か。」
「かおりは心配しなくても男できるよ。夏休み入る前に海行こうって誘われたじゃん?あれ、明らかにかおり目当てだったよ。」
「そんなことないでしょ、ユキ目当てだったんじゃないの?」
「いやいや、目をみてたらわかる。あれはかおりを狙ってた。あんなどこの馬の骨かわからんやつにかおりを渡すつもりはないから断ったけどね。かおりはいいなー、髪つやっつやだし、胸も大きいし。私はちんちくりんだからなー。」
「そんなことないよ。ユキの方が可愛いよ。…こう、抱きしめたくなるよ。」
「あはは、ありがと。かおりに抱きしめられると落ち着くからなー…案外私、かおりのこと好きなんじゃないかな。」
「…え?」
「むしろかおりを嫁にすれば万事解決なのでは?私天才か?」
「…そういうのは、冗談でも言っちゃダメだよ?」
「いやいや、私レズの素質あるのかも。かおりはどう思う?…って、かおり?どしたの?何か、顔怖いよ。」
「…ごめん、あんまりそういうのは、冗談でもやめて欲しいかな。」
いつになく険しいかおり。あれ、私何かやらかしたか。
「え、なんかごめん。…あれ、どの辺が良くなかった?私バカだから、何がまずかったのかよくわかんなくて。」
「はー、……私ね、レズなの。」
「へ?」
「ずっと前から、ユキのこと好きだったの。」
「え?え?」
「びっくりした?」
「んぇ…ごめん、私酔い過ぎたのかも。ごめん、もっかい言って?」
「私ね、レズビアンなの。女の子が好きなの。それでね、ユキの事が前から好きなの。」
聞き違いじゃなかった。え、どゆこと。頭がパニックになる。一気に酔いがまわったみたいに頭がグラグラする。
「さっき、ユキもレズの素質あるかもって言ったよね。本当にそうなの?私の事、受け止められる?」
「いや、さっきのは酔った勢いで…ひゃっ!」
かおりが私の手を握った。恋人同士が繋ぐように、かおりの指が、私の指と指の間に滑り混んでくる。
細く、ひんやりとした感触に、包まれる。
「か、かおり?」
かおりが、無言でもう一方の手も握ってくる。私は、抵抗できなかった。
「ちょ、ちょっと待って!かおり、落ち着こ?」
「私は落ち着いてるよ?ユキが、相手が女の子でも良いって思ってるなら、私はもう我慢しない。それだけだよ。」
ゆっくり、かおりが私に跨がった。膝立ちになったかおりの胸に、あごが触れる。私はかおりを見上げたまま、固まっていた。かおりの顔から、目が離せなかった。さらりと垂れたかおりの髪はいい匂いがした。
心音が、跳ね上がる。
「…かおり?」
「私はね、ユキが思ってるほど、いい人じゃないの。ユキを独り占めしたいの。…ね、いいでしょ?」
「ふぇ。」
情けない声と共に、かおりに押し倒された。
喉から、心臓が飛び出しそう。息が詰まって、声が出せない。
ゆっくり、かおりの顔が近づいてくる。
「――――っ!」
お互いの吐息が肌に触れるくらいまで近づいた時、私はとっさに目を閉じた。
「ウ・ソ。」
耳もとで、囁かれた。
目を開いた。
「どう?びっくりした?」
「…え?」
「冗談だよ、冗談。」
何が何だかわからない。
「あまりにも話が変な方向に行くから、ちょっとからかっただけだよ。…ごめんね。」
そういって、かおりは私から離れた。未だに状況把握ができない私は、ただ天井を眺めた。
「どう?酔いは覚めた?」
首元に、ひんやりとした何かが当てられる。冷えた水のペットボトルと分かるまで、十数秒。
「これ飲んで。…ほら、さっさと起き上がる!」
腕をつかまれ、起こされた私の顔はどんなだろう。
「ごめんね。今日は編集さんとメールでやり取りしなくちゃいけなかったの忘れてて、これから、また作業にとりかからなくちゃだから、今日は帰ってもらって大丈夫?…って聞いてる?」
「…あ、うん。」
私は、ペットボトルを受け取り、玄関へと向かった。
「じゃ、またね。」
「あ、うん。」
外は、うだるような暑さだった。階段を上がり、自分の部屋にもどる。
そのまま、私は何も手につかず、夜になった。
まだ、首元にはひんやりとした感覚が残っているように感じた。
その日、私は一睡もできなかった。
気がつくと、明け方の5時になっていた。空が薄明かるくなっていた。
私は、かおりの部屋に行った。
呼び鈴を鳴らしても、反応がない。当たり前か。
もう一度鳴らして、ダメだったら帰ろう。
そう思い、呼び鈴を鳴らそうとしたとき、ドアが開いた。
「…おはよう、かおり。」
「…おはよう。」
虚ろな顔、充血した瞳。泣き張らしたみたいな目元。ずっと泣いてたの?
昨日と何も変わらない、散らかしっぱなしの部屋。
「ユキ、あのね。」
「昨日の話、冗談じゃないよね。」
「…え。」
戸惑うかおりをよそに、私は続けた。
「かおりが、真剣なのか、そうでないのかくらい、見分けつくよ。…だからね、聞いて欲しい。」
「やだ、聞きたくない!」
耳を塞いで目をつむるかおりを、私はそっと抱きしめた。
「っ!?」
かおりの体はこわばっていた。少しでも落ち着くように、ゆっくりと頭を撫でた。
「…昨日は、驚いて、呆然として、そのまま帰っちゃったけど、一晩考えて、思った。…私も、かおりが好きなんだと思う。友達として好きなのは当たり前だったけど…押し倒された時、その辺の男と一緒にいるより、ずっとドキドキした。酔ってて、変な気持ちになってたとかじゃなくて。前からさんざん、私が男だったらかおりを嫁にするーって言ってたけど、男じゃなくても、受け入れられるっていうか。今まで考えたことなかったけど…そういう風に意識してみたら、かおりのことが好きかもって。…私バカだから、いまいち女の子同士ってよくわかんないけど、まぁそれもアリかなって。…だから、かおりの気持ちに応える。応えたい。」
うつむいていたかおりが、顔を上げる。
「…ホントにいいの?気持ち悪いとか、思わない?」
「思うわけないじゃん。かおりはかおりでしょ?全然気持ち悪くない!」
まっすぐ見つめてくるかおりを見つめ返していると、突然唇を奪われた。
私は、やわらかな感触とそこから伝わってくる熱を受け入れ、目を閉じた。
…あぁ、嫌じゃない。ホントに、嫌だと思わない。
受け入れた私に安心したのか、かおりは私の腕の中でわんわん泣き始めた。
「…これ。」
落ち着いたかおりは、漫画の作業机から、原稿を取り出して私に見せた。
読んでみたが、中身はドロッドロの百合漫画だった。
「…マジか。これ、かおりが描いたの?」
「そ、私の恋愛観がここに詰まってる。ユキには、隠し通そうと思ってたけど、ユキが私を受け止めてくれるって言うから、知っておいてほしくて。」
「はは、は。」
いつもより満面の笑みを向けてくるかおりに、私は言葉を返せない。
「さすがにこんなドロドロ展開はちょっと…。」
「大丈夫!すぐに慣れるから!これからは私のアシスタントとして頑張ってもらわないと。」
「え!私も手伝うの!?このドロドロを?」
「いつも私がいっぱいお世話してるんだから、ちょっとくらいいいでしょ?…彼女のお願いは聞いて欲しいな。」
「ええー…。」
にっこり笑うかおりを見ていると、可愛いと思ってしまう。
それが、きっと答えなんだろう。
不思議と、この状況をすんなり受け入れられている私は、まだ酔っているのだろうか。
「ところで、めっちゃ眠くない?かおりもどうせ寝てないんでしょ?」
「そういえば、何か眠くなってきたかも。」
安堵からか、お互いに抗えない眠気に襲われていた。
私たちは一人用の布団に体を寄せあって潜り込んだ。
「…ユキ。」
「ん?」
「えへへ、何でもない。」
朝日が登る中、私たちは静かに眠りに落ちた。
日差しが、暑い。
バスターミナルで、高速バスを待つ。
今日から、かおりと二泊三日の温泉旅行だ。
「楽しみだね!」
「そうねー、肉が私を待っている!」
「目的は温泉じゃなかったの?」
「いやいや、まずは食い物でしょ。そして昼間から酒を飲む。肉と酒、楽しみだなー。」
「相変わらずだね。のみすぎないでよ?」
「ははは、保証はない!」
バスがやって来た。私たちは一番後ろの席に座った。
程なくして、バスは出発する。
「…帰ったらさ。」
「?」
「この旅行から帰ったら、お揃いのアクセサリーでも買いに行こっか。ちょっと良いやつ。今度は私がお金だすから。」
そういって、私はかおりの手を握った。
かおりは嬉しそうに大きくうなずいた。
バスは好調に進んでいく。
ひんやりとしたエアコンの風を肌に受けながら、私は移り行く外の景色を眺めた。
最初のコメントを投稿しよう!