最終章 王殺し

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「君も……」  小さな手で布越しに撫でられるだけでたまらないのが正直なところだ。だが〈王殺し〉は〈少年王〉を傷つけたくなかった。この少年の体は数日前に無理をしたせいで傷ついている。今の〈王殺し〉のそれは獣のものほど凶暴ではないが、体格同様普通の男よりはずいぶん大きいはずだ。 「俺はいい。今日はお前を傷つけるようなことはしない」 「でも」  少し戸惑うような素振りを見せてから〈少年王〉は思いもよらない行動に出た。〈王殺し〉の前にしゃがみこむと、服の前をくつろげて取り出した大きなものを迷わず口に咥えたのだ。 「おいっ」  あまりに恐れ多くて引き離そうとしたものの、結局〈王殺し〉は快楽の前に負ける。  四つん這いになった〈少年王〉は〈王殺し〉のいきり立ったペニスを拙いながらも必死に咥え、舐めすすろうとする。〈王殺し〉ははじめて受ける直接的な愛撫に陶酔しながら太い腕を伸ばし、ひくひくと震える〈少年王〉の前や後ろを手で触れてやった。 「んっ……ん」 「はあ……」  次第に互いの呼吸が早くなり、果てるのは同時だった。〈少年王〉は〈王殺し〉の手を濡らし、それと同時に〈王殺し〉は思わず〈少年王〉の口の中に放った。 「すまない」  正気に戻って謝罪の言葉を口にする男の顔を見上げながら〈少年王〉はいとも自然な仕草で口で受け止めたものを飲み込んだ。そして、伸び上がるようにして〈王殺し〉の太い首に腕を回すと、唇に唇を押し当ててきた。  薔薇色の小さな唇は〈王殺し〉が知るこの世のどんなものよりも甘かった。
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