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「えるー、なんでそんなしゃべりかたなのー?」
「もっとふつうにはなそうよー」
そう言われて困惑してしまう。自分は下の立場である。妖精王様に不敬をしてしまう訳には行かないし……。ヒトは少し苦手……というか嫌いなので、敬語は使わないが。
わりと敬語は身に染み付いている部分があるようにも思える。
というかそもそもの話あるじの眷属としてヒトに対して敬語を使って下に出るなど、あってはならない。
妖精は本当に自由だ。しがらみも少ない。というか無い。……はずだ。聞いた限りでは。
しかし、ならば。寧ろ敬語を使って妖精の機嫌を悪くする必要も無いのでは無いだろうか。まさか妖精自ら敬語は要らないと言っているのに妖精王様もそれを咎めはしないだろう。
「わかった。私はじゃあこれからこのしゃべり方でいくけど……こ、これでいいか?」
妖精は本当に可愛い。うん!と大きく頷き喜ばしそうにする様子はこちらも幸せになれそうだった。
「えるー!たくさんくだものもってきたー!」
「わっ!ありがとうな!」
本当に美味しい。
この森はしかも寒過ぎることも無いのだ。そもそも俺狼だし生えている毛である程度大丈夫なんだけど……。まあ体温調節の方法は舌しかないけどね。汗腺がほぼ無いから。
魔法もほぼ使えない自分に情けなさを感じつつ果物を半ば頬張る形で食べていく。
夢中で食べるとお腹も一杯になる。満腹になったのも久しい。
そうして暫く遊んで居た。やる事も無いし、森を妖精と一緒に歩くだけで本当に楽しいのだ。
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