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「最近ずっと変」
枕に顔を埋めながらそう嘆く。
「えっと、いつ魔王の所に行くの?」
クライがそう聞いてくる。
そう、俺はまだあの3人に何も出来て無くて納得していないから、少しだけ待って貰っている。
あるじが何を考えているのかどんな事情が存在するのかも全くわからないから、今は思うように適当に動いているし何より一旦あるじの判断でここに居るのに連れ戻しに来たなど良く考えればおかしい事。
しかもあるじ本人が来るのではなく勇者を代わりに送って来たのだ。
勇者である事に意味があるのか、それともあるじでは無いことに意味があるのか。どちらも意味があるのかもしれないし大した意味はどちらにもないのかもしれない。
サザン様どうしてるかなぁ…。
あるじとクライの事を思い浮かべると、黒い手袋を嵌めた魔族のチャラい上司が不意に思い浮かぶ。あのダサい手袋。そう言ったら片方だけ外したので余計にダサくなった。
正直勇者を待たせるのも悪いし早く行きたい気持ちも強いが俺が納得出来ない。なんか納得出来ない。
「もうわかんない………」
「僕もそれは困るよ!?」
殆ど接した事も無いのに随分と仲良くなった気がする。お友達第1号だ。サザン様は仲の良い上司だからな。
妖精王達の立ち位置は、もうよく分からなかった。お友達だとなんだか気に入らない。こういうと変ではあるが、なんだか気に入らない。
「うぅ〜、あんな感じで部屋に戻ったからまた会いに行くの抵抗がある〜…」
勇者が首を傾げる。
「好きなの?」
「?」
「妖精王」
噛むぞ!あほか!そう心で噛みつきながら微妙に混乱する頭で答える。
「あるわけないだろっ!大体妖精王3人いるぞっ!?それに一目惚れならまだしもこんな…短期間でそんな…感情……抱く訳が………な…い…」
語尾が小さくなる。
いや、でも、ないない。そう自分の中で繰り返す。だって、こんな短い間に、好きになるわけがないし、それに人数がおかしい。
まぁ魔狼だし狼とは違うし人間とも感覚が違うから別にそういうのが何人もいること自体に何かある訳では無いが、問題なのは一気にそんなに好きになるわけが無いって事だ。
思わず顔が赤くなってしまって、それが恥ずかしくなって顔を手で覆うとまた考える。
いやでも、本気でおかしい。1気に3人……それもだけど、すぐには好きにならない。というかなれないぞ!?一緒に「ゆったり」居る時間もほとんどなかった。心休まらぬ状態が続きまくっているのにそんな事になるか!?
「なんだよその質問…」
「……ん、いや、なんでもないや…」
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