勇者のストレス

6/12
前へ
/137ページ
次へ
ーーーーーー  「勇者様……」  結論だ。そう、結論。長々と話すよりも結論を最初に言った方が良い。  んん、僕の仲間が、街の冒険者連れて戦ってました。  ここ襲撃すれば僕を出してくれると思ったらしい。なんでだ。  「おほん……で、取り敢えず、なんていうか……大丈夫だよ、うん」  「何が…?」  エリスが何か言った気がするが気のせいだ。  「思ったよりも被害少なくて良かった…」  空の妖精王が空島の混乱を収める中でそう呟いていた。申し訳ない。うん。  その中でエルも空島が心配でここに来ていたらしく、今は森の妖精王に抱かれている。  「…はなせ…っ!はな……はなせぇ!」  バタバタと暴れようとしているが適って居ない。  「てか、お前ら仕事は!?」  「ほう、俺にそんな口を聞くとは…いい度胸だ。主導権はお前には無いぞ?」  「うわぁぁぁぁぁ!自己中野郎めぇぇぇ!」  エルも楽しそうだし良かった良かった(白目)。  そして、その中でずっと黙っていたグルガが口を開いた。  「勇者…分かっているぞ。俺達の為に嘘をついているんだろう…?」  「え?」  説明するのが面倒だったから色々省いて「全然大丈夫」とだけ言ったけど、確かにそう言ったけど、それ本当だからね。  「エリス様!かわいい…」  「く、クリス…日に日に俺に対しての評価変わってないか…?」  「あれ、わんちゃんだ…」  「セフィグラディス、あれ犬じゃねぇぞ。多分」  「エリス!そういうのはいいのぉ!」  なんだか横が煩いがそこは良い。  「大丈夫だぞ、助けるからな」  「まてまてまてまて色々おかしいだろ」  まぁ今は丸腰だから確かに危険に見えるけど…。  てかエリスとか何か反応してよ!クリスしか見てないじゃん!  そして最後の頼みの綱であるセフィはエルに夢中だ。みんな何のためにここに来たんだろう。  「とにかく帰るぞ!建て直そうではないか!」  グルガにはこの状況がどんな風に映っているのだろうか。完全にほんわかしているんだけども、敵地にいるという先入観は感じるものまで変えるのか。  「いや、大丈夫だからみんなで帰っ…」  そう言おうとするとグルガに抱えられる。  「!?」  ふふ、僕の方が力つよ……。  強いから…。  つ…よ……。  「なんで力が弱まってるんだよ!」  バタバタと必死で暴れる。グルガが前よりも強くなっていることもあるだろうが、僕の力も明らかに弱まっている。全然抵抗出来ない。  「エリス!クリス!セフィ!行くぞ!」  「!????」  そもそもどうやってきたんだよぉぉぉぉぉ!!
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1074人が本棚に入れています
本棚に追加