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序章
あなたに言われた心無い言葉が、今でも私を苦しめます。
忘れた頃に戻ってきては私の心をかき乱し、悲しみを超えた怒りが私を支配するのです。
それは出口の無い迷路のように延々と繰り返され、いつまでも、いつまでも、思い出しては傷付き、癒されては思い出します。
だから私は、私をこんな風にしたあなたが憎くて、憎くて堪らない。
ついこの間まで、そんな風に思っていました。
だけど、ある時私は気付きました。
ことの全て、苦しみの全てをあなたのせいにしているけれど、私は完全な善ではなかったのではないか、と。
私にとってあなたは紛れも無く、悪でした。
でもあなたにとっては私が悪だったのではないか。
私があなたに苦しめられたように、あなたも私という存在に苦しめられたのではないか。
そう、思うのです。
だから今、ここに懺悔します。
そして、私の苦しみや怒りがもう二度と生まれないように、一緒に、置いて行きます。
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