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プロローグ
ドンッ
ホームにいたはずの僕は気がついたら宙に浮いていて、ゆっくり下に向かって落ちた。
周りのざわめく声が耳に入ってくるもだんだん声が聞こえなくなる。
目が覚めると白い天井。白い壁。
僕は体を起こすと隣にいた寝ていたらしい母さんも頭を上げ、今までにない驚いた目で僕を見て、その目から雫が落ちていくのが見えた。
僕は線路に落ちた…いや、落とされたこと以外は何も知らなくて誰に落とされたのか落ちたあとどうなったのかも何も知らなくてただただ母さんに「ごめんね、」って言った。
母さんは「生きててくれてよかった」と何度も言って、僕が何もわからないのを察したのか何があったのかを話し始めた。
線路に落ちたあと記憶を失い、電車にひかれる寸前で男の人が線路に降りて僕を助けてくれたらしい。男の人は左手の肩の下の所から肘の下にかけて縦に傷が入ったらしく僕を抱えた手は赤で染まっていたそうだ。
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