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今年から高校生になった。 陰キャを極めている僕にとって高校生活は目立たないことが目標である。 …まぁ、そんな目標なんて達成出来るわけなくて。。。 フッと通りかかったいい香りに思わずふりかえってしまった。 確かに、誰もが振り返るいい香りではあるが、僕の場合は違って視界に入った大きな傷跡を僕は知っていたからだ。 その大きな傷跡を掴むと男の人が驚いたようにこちらを見て「何?」と言ってきた。当然その声は聞こえていたけれど、その声よりも目の前にある大きな傷跡が自分のせいだと思うと涙が溢れて止まらなかった。 「落ち着いた?大丈夫?」 馬鹿みたいに止まらない涙をどうにかして止めようと必死に腕で涙を拭うと「目腫れるからやめた方がいいよ」と目から僕の腕を引き剥がして腕を掴んだまま僕を人の目に触れない場所まで連れていってくれた。
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