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鬼の屋敷では、家族会議が行われていた。
議題は末っ子の偏食について。
「むり!味も食感もむり!」
「お前、人間食べたことないじゃん。食わず嫌いじゃん」
「見た目も匂いもむり!」
「血の匂いが苦手って、鬼としてどうなの」
らちがあかない。
二の御子はだんだん飽きてきた。
「もう、ほっといたら」
一の御子が助け船を出す。
「まあ、そんな無理強いしなくても」
母君はばんと床を叩く。
「うちは由緒正しい、鬼の一族なの。わがままはだめ!」
母はしつけに厳しかった。
「せっかく里からもらったものを捨てたらもったいないでしょう! ばちが当たりますよ!」
「えー……そんなこと言われても……」
母君の剣幕に押され、三の御子はげっそりする。
「泣くし、笑うし」
わかいそうだからむり!
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