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もうすぐ、私の出番が来る。
今日は、ピアノの発表会だ。
小学校1年生の頃からずっと出ていて、もう流石に緊張はしないだろうと思っていたが、中学3年生ということもありレベルを上げたからか、それとも、とても大きな会場での発表会が今年初だからなのか、朝から冷や汗が止まらなかった。
「臨ちゃんがそんなに緊張しているなんて珍しいじゃない。
大丈夫よ。今まで見てきた先生が、保証してあげる。あなたはピアノが大好きで、ずっと頑張って練習してきたんだから。」
舞台裏で、先生が言った。
「...はい。」
「もうー、大丈夫だって。そうだ、手のひらに人って三回書いて飲み込むと緊張しないって知ってる?」
「聞いたことあります。」
「今やれば?それ。気持ち軽くなるかもしれないよ。」
「はぁ...」
人、人、人......ゴクン。
半信半疑で、やってみた。
パチパチパチパチ...
前の人の演奏が、終わった。
「次は、プログラム26番、笹田臨さんの演奏です。曲は、桜の........」
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