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「おーい! クロどこいったー」
「クロー! いたら出てきてー」
二階の廊下で、オレたちはクロを呼んだ。
廊下は、さっきの広間より、さらに薄暗い。
壁には、いくつもの金の燭台(トワによると、ロウソクを立てる台を、そう言うらしい)がくくりつけられているけど、もちろんロウソクには火がついてない。
廊下の両側には、ずらりと木の扉がならんでるけど、
「どこから見ていったら、いいんだろ……」
トワの言うとおりだ。どんだけ部屋があるんだ、この家は。
「こまったな……」
「こまったね……」
おたがい、はあ、と息をついた、そのときだった。
オレたちが、背後に殺気を感じたのは。
背筋がゾクッとして、二人同時にふり返って……オレとトワは、かたまった。
ここから数メートル離れた、廊下のまんなかに。
何か、青白く光るものが、宙にうかんでいた。
すらりと細長いそれは、にぶい銀色の刃をもっていて、それが光を反射して青白く光っている。
大河ドラマとかで、よく見るそれ……日本刀だ。
日本刀が、宙に、うかんでるっ……!
〈貴様ら、何者だ……!〉
しかも、しゃべった────!
〈くせ者どもめ……主にかわり、貴様らを成敗する!〉
せ、セイバイ?
成敗って……どう考えたって不穏な意味だと思うんですけど!?
とか考えてる間に、刀が宙を飛んで、オレらに襲いかかってきた!
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