一章 ここはユーレイ屋敷!?

8/14
前へ
/78ページ
次へ
「おーい! クロどこいったー」 「クロー! いたら出てきてー」  二階の廊下で、オレたちはクロを呼んだ。  廊下は、さっきの広間より、さらに薄暗い。  壁には、いくつもの金の燭台(トワによると、ロウソクを立てる台を、そう言うらしい)がくくりつけられているけど、もちろんロウソクには火がついてない。  廊下の両側には、ずらりと木の扉がならんでるけど、 「どこから見ていったら、いいんだろ……」  トワの言うとおりだ。どんだけ部屋があるんだ、この家は。 「こまったな……」 「こまったね……」  おたがい、はあ、と息をついた、そのときだった。  オレたちが、背後に殺気を感じたのは。  背筋がゾクッとして、二人同時にふり返って……オレとトワは、かたまった。  ここから数メートル離れた、廊下のまんなかに。  何か、青白く光るものが、宙にうかんでいた。  すらりと細長いそれは、にぶい銀色の刃をもっていて、それが光を反射して青白く光っている。  大河ドラマとかで、よく見るそれ……日本刀だ。  日本刀が、宙に、うかんでるっ……! 〈貴様ら、何者だ……!〉  しかも、しゃべった────! 〈くせ者どもめ……(あるじ)にかわり、貴様らを成敗する!〉  せ、セイバイ?  成敗って……どう考えたって不穏な意味だと思うんですけど!?  とか考えてる間に、刀が宙を飛んで、オレらに襲いかかってきた!
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加