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〈覚悟ぉ────!〉
「うわあああああああああああ!?」
絶叫して逃げ出すオレとトワ!
ダッシュしながらふり返れば、刃をふり回しながら迫ってくる日本刀!
ウソだろっ……! 夢だ、こんなの間違いなく夢だ!
夢だ、夢だ、夢だ……
ベシィィンッ!!
「いでぇッ!?」
なぜか隣を走っていたトワが、オレの後頭部を思いっきり叩いた。
「いてーよっ、なんで今、この場面で叩くんだよ!?」
「ご、ごめん! セーヤ叩けば、夢から覚めるかなー、と」
「おまえバカなの!? 自分叩かなきゃ、意味ねーだろがっ」
「ぱ、パニック起こしちゃったんだってば!」
しかしトワに殴られたおかげで、わかった。これ夢じゃない!
しかも前が行き止まり……
「って、ええっ、行き止まりぃ!?」
逃げ場を失った二人、迫ってくる刀オバケ、絶体絶命のピンチ!
〈覚悟──ッ!〉
「ひいいいいいいぃい!」
もう、天に召されるのを覚悟した、そのとき。
「あああっ!?」
トワが驚いた顔で、何もない天井を指さす。
と、刀が急停止して、びっくりしたように天井をキョロキョロ見上げる。
ひ、ひっかかった!
「今だーっ」
刀の横をすり抜けて、オレたちは来た道をUターンした。
「セーヤ、このまま戻って、さっきの階段下りて脱出しようっ」
「お、おう!」
しかし、そうはうまくいかなかった。
ボボッ!
急に、廊下の燭台のロウソクに火がともる。
ぎょっとするオレたちに、今度は燭台の火が、火の玉になって襲いかかってきた!
「トワあぶないっ」
トワの頭をつかんで、無理やり床にふせさせる。
火の玉は、ほんの一秒前まで、トワの頭があった場所をビュンッと通過した。他にも、いくつもの火の玉が廊下を飛んでいる。
おまけに、さっきの刀が後ろに迫ってきてるし!
「こっち!」
オレはトワの手を引いて、そばの部屋に逃げこんだ。
ドアを閉めて、すぐさま鍵をかける。
「はあぁぁぁ……」
一時的な安全を手に入れて、オレとトワはへたりこんだ。
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