一章 ここはユーレイ屋敷!?

11/14
前へ
/78ページ
次へ
「うわっ、また来たぁ!」  後ろから、食器やら文房具やらのバケモノたち、接近。  って、数ふえてるし!  また、近くの部屋に逃げこむ。  その部屋にあったのは、木でできた立派な衣装ダンス。 「セーヤ、この中にかくれようっ」  オレたちは衣装ダンスの中に入り、すぐさま扉を閉めた。  その直後、バケモノたちが部屋に入ってくる気配。オレたちは息をひそめる。背中に、たらぁー、と流れる冷や汗。  心臓がずっとバクバク言っていて、ヤツらに聞こえないか心配だ。  バタバタバタ、ガシャガシャ、ドタタタタ……!  バケモノたちが、衣装ダンスの前を通りすぎていく音がする。  ヤツらの足音(?)が小さくなっていって……やがて無音になった。 「……」  どうやら、とりあえずの危機はすぎ去ったらしい。  オレとトワは、心底ほっとして「はあぁ~」と当時に息をついた。 「な、なんなんだよ、アレ……マジでいたのかよ、ユーレイ……!」 「いや、アレは幽霊っていうか妖怪? オバケ?」 「どっちだっていーよ、もう……」  がっくりうなだれるオレ。そのときだった。  どこからか、ピアノの曲が流れてきたのは。オレとトワは、はっと顔を見合せる。 「そう、このピアノの音だよ、間違いない」  トワはしっかりうなずいた。  今回は、はっきりとオレにも聞こえた。二人で、耳をすませる。演奏しているのは、誰もが知ってる、あの歌。  しかもなぜか、その曲ばかりをくり返し、何度も演奏している。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加