22人が本棚に入れています
本棚に追加
「うわっ、また来たぁ!」
後ろから、食器やら文房具やらのバケモノたち、接近。
って、数ふえてるし!
また、近くの部屋に逃げこむ。
その部屋にあったのは、木でできた立派な衣装ダンス。
「セーヤ、この中にかくれようっ」
オレたちは衣装ダンスの中に入り、すぐさま扉を閉めた。
その直後、バケモノたちが部屋に入ってくる気配。オレたちは息をひそめる。背中に、たらぁー、と流れる冷や汗。
心臓がずっとバクバク言っていて、ヤツらに聞こえないか心配だ。
バタバタバタ、ガシャガシャ、ドタタタタ……!
バケモノたちが、衣装ダンスの前を通りすぎていく音がする。
ヤツらの足音(?)が小さくなっていって……やがて無音になった。
「……」
どうやら、とりあえずの危機はすぎ去ったらしい。
オレとトワは、心底ほっとして「はあぁ~」と当時に息をついた。
「な、なんなんだよ、アレ……マジでいたのかよ、ユーレイ……!」
「いや、アレは幽霊っていうか妖怪? オバケ?」
「どっちだっていーよ、もう……」
がっくりうなだれるオレ。そのときだった。
どこからか、ピアノの曲が流れてきたのは。オレとトワは、はっと顔を見合せる。
「そう、このピアノの音だよ、間違いない」
トワはしっかりうなずいた。
今回は、はっきりとオレにも聞こえた。二人で、耳をすませる。演奏しているのは、誰もが知ってる、あの歌。
しかもなぜか、その曲ばかりをくり返し、何度も演奏している。
最初のコメントを投稿しよう!