一章 ここはユーレイ屋敷!?

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 その曲は、まぎれもなく童謡『かえるのうた』だった。  二人でひそひそ話す。 「ど、どうする、トワ」  トワは何かを決意した目で、オレを見た。 「そうだね……こうなったら、方法はただひとつ。この家の(あるじ)に直談判する」 「じ、ジカダンパン?」 「つまり、この家の主に直接たのんで、なんとかしてもらう」  ええええええ…… 「そ、それって、敵の本拠地に直接つっこむようなもんじゃね? 誰にも見つからないように、自力でココを脱出したほうがいいんじゃ……」 「忘れたのセーヤ? ボクたち今、迷子なんだよ?」  おっしゃるとおりです、トワさま。  オレは洋服にうもれながら、うなだれた。 「だから、この家の人にバケモノたちをなんとかしてもらってから、出口を教えてもらうんだ」 「けど、ここの家の主ってのがドコにいるのか、まず、捜さねーと」 「それなら多分、さっきからピアノ弾いてる人じゃないかな」 「……ちなみにトワさん。その主が悪いヤツとかだったら、どうすんの?」  恐る恐る尋ねると、トワはいばるように胸をそらして、 「だいじょーぶ! ピアノが趣味の人に、悪い人なんていないからっ」  はっきり断言した! なんでそこまで、自信もって言えんだよ!  でも、他にいい案が出てこないのも、悲しい事実。 「しょうがないかぁ……」  自分の癖っ毛の黒髪をわしゃわしゃとかきながら、トワの意見に納得した直後だった。  ……オレたちの入ったタンスが、ゆれ始めたのは。  カタカタカタカタ…… 「え? なに、地震?」  眉をひそめるトワ。  その間にも、ゆれはどんどん、ひどくなっていく。  ていうか、なんだろう。  なんか、ものすんごくイヤな予感が……
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