プロローグ

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 そんなオレを、じとー、とした目で見てくるトワ。  なんだよ、その、疑うような目は。おまえ、オレを信用してないな。 「みゃおー……」  おまけにクロまでオレを、じとー、と見てくる始末。  ていうか、主人とおんなじ目をするんじゃないっ。 「あー、もうっ、分かったよ! 行けばいいんだろ、行けば!」  ほとんどヤケクソなオレに、トワの顔が輝いた。 「やった! そうこなくっちゃ、セーヤっ」  やれやれ……ホントはこれから、近所のかき氷屋さんに行く予定だったのに。でも、しかたない。オレがビビりじゃないことを、トワに知らしめるためだ。  それに……冒険に興味がない、って言ったら、ウソになるし。 「うっし、じゃあ、いっちょ行くかっ」 「おーっ」 「ミャオン!」  青い、青い真夏の空の下。  オレたちはペダルをふみこみ、住宅街を走り抜けていった。  目指すは、住宅街の向こうの、あやしげな丘。  まさかこれが、オレたちの生活を一変させる、きっかけになろうとは……  今のオレたちには、知るよしもなかった。
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