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階段はなんていうか、意外にもすごくオシャレだった。
植物のツルがからみ合うデザインの、ロマンチックな鉄製の手すりがついているのだ。繊細な模様で、なんか鉄でできたレースみたい。
「アイアンワークだね!」
トワがそれを見て言った。
「なんでおまえは、そんな小むずかしい単語知ってんだよ……あ、ひょっとして、トワん家にもあるのか?」
そうだね、とトワ。
さすが金もちの家はちがう。
そのアイアンワークの手すりには、本物の植物のツルがからみついていて、小さな野生のバラがピンクの花をたくさん、咲かせていた。
階段には、金色のこもれ日が落ちている。けど、木の影が強い日ざしを遮ってくれるせいか、かなり涼しい。
森の中だけど、セミの声がそこまでうるさく感じないのが不思議だ。
すぐ近くには小川が流れ、ちょろちょろ……という水音が聞こえてきた。きれいな水と、土のにおいがする。
小川のまわりには、たくさんの小さな野の花が咲いていた。
そして、その花に集まる、色とりどりの蝶。
「すごいよセーヤ、いろんな種類の蝶が飛んでる!」
トワの言うとおりだった。
ふつうのアゲハチョウだけじゃなくて、羽に一本の青いスジが入ったアオスジアゲハ、大きい黒い羽がきれいなクロアゲハもいる。
クロが興味津々にチョウチョを観察していた。
猫って動くものに反応するしな。
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