一章 ここはユーレイ屋敷!?

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 階段はなんていうか、意外にもすごくオシャレだった。  植物のツルがからみ合うデザインの、ロマンチックな鉄製の手すりがついているのだ。繊細な模様で、なんか鉄でできたレースみたい。 「アイアンワークだね!」  トワがそれを見て言った。 「なんでおまえは、そんな小むずかしい単語知ってんだよ……あ、ひょっとして、トワん家にもあるのか?」  そうだね、とトワ。  さすが金もちの家はちがう。  そのアイアンワークの手すりには、本物の植物のツルがからみついていて、小さな野生のバラがピンクの花をたくさん、咲かせていた。  階段には、金色のこもれ日が落ちている。けど、木の影が強い日ざしを遮ってくれるせいか、かなり涼しい。  森の中だけど、セミの声がそこまでうるさく感じないのが不思議だ。  すぐ近くには小川が流れ、ちょろちょろ……という水音が聞こえてきた。きれいな水と、土のにおいがする。  小川のまわりには、たくさんの小さな野の花が咲いていた。  そして、その花に集まる、色とりどりの蝶。 「すごいよセーヤ、いろんな種類の蝶が飛んでる!」  トワの言うとおりだった。  ふつうのアゲハチョウだけじゃなくて、羽に一本の青いスジが入ったアオスジアゲハ、大きい黒い羽がきれいなクロアゲハもいる。  クロが興味津々にチョウチョを観察していた。  猫って動くものに反応するしな。
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