22人が本棚に入れています
本棚に追加
エピローグ
オレたちは今日も、洋館へ続く階段を上っていく。
夏は緑であふれていた森が、今は黄金色に輝いていた。
赤やオレンジ、黄色に色づいた葉っぱが、ひらひらと舞っている。
どんぐりも落ち葉の絨毯にたくさん転がっていて、高級なチョコレートみたいにつややかだった。
「わー、もうすっかり紅葉したね!」
アイアンワークの階段を駆け上がっていたトワは、足を止めて紅葉に見とれた。
そんなトワは、黒のとんがり帽子に、黒のマントというかっこうをしている。つまりは、魔法使いの衣装だ。クロをだっこしているから、よけいに魔法使いっぽい。
まあ、かくいうオレも、おんなじ衣装を着ているわけだけど。
そう。今日はこれから、つくも神ホテルでハロウィン・パーティーなのだ!
主催者はもちろん、ホテルの主人レグルス・ボールドウィン。
「にしても、あの兄ちゃん。今日、オレとトワに大事な話があるって言ってたけど、なんなんだろーな?」
「さあ? でもとりあえず、パーティー楽しみだねっ」
「シャルルもたのしみ~!」
トワの帽子の中から、白いもこもこが出てきた。
「シャルル……おまえ、いないと思ったら、そんなとこに隠れてたのか」
「かくれてた~」
きゃっきゃっとはしゃぐシャルル。
この間、トワはシャルルをつれて、隣町に住むアンリおじいちゃんの家に遊びにいったそうだ。アンリとシャルルは、やっと再会できたんだ。
「おじいちゃん、すごいんだよ! シャルルが動いても驚かないで、むしろ感動して子どもみたいに、はしゃいじゃってさ」
楽しそうに説明するトワに、オレは苦笑いした。
さっすが、トワのじいちゃん……感覚が常人とは違うというか、なんというか。
そうこうしているうちに、オレたちはホテルに着いた。
「おじゃましまーす!」
二人声をそろえて、玄関を開けると……
パン、パパパパパン!
「うわあっ」
最初のコメントを投稿しよう!