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オレは唇をとがらせた。
「レグルスがオレたちに大事な話があるっていうから、早めに来たんだけど?」
「ああ! そうだったね」
居住まいを正し、レグルスはオレとトワに向き直る。そしていきなり爆弾発言をした。
「今日から君たちを、魔法使いレグルスの弟子にしようと思う」
……。
「はいいいいい!?」
「ええええええ!?」
レグルスは跳び上がるオレたちを無視して、さくさくと話を進めていく。
「一二三から聞いたよ。前に、永遠くんはチェリーの心の声を聞き、聖也くんはチェリーの過去の記憶を見たと。それはおそらく、君たち自身の力だ」
「ち、力?」
素っ頓狂な声を上げるオレ。トワは、オレよりはいくらか冷静だった。
「力って……超能力みたいな?」
「君たちにわかりやすい言葉で言うなら、そうだ。もしくは、魔法の力」
レグルスはうなずいた。
「永遠くんは、相手の心の声を聞くことができる力。聖也くんは、相手の記憶を見ることができる力ってとこかな」
そう言われても、実感がわかなかった。
だってオレたち、普通の小学生だぞ?
するとレグルスは、この人にしては珍しく、優しげにほほ笑んだ。
「このふたつの力は両方とも……君たちの優しさから生まれた、力だ」
オレとトワは首をかしげる。優しさ?
「困っている人の声を聞いてあげたい、悲しんでる人の心を知ってあげたい……そんな、君たちの無意識の優しい感情が生み出したのが、この奇跡の力なんだ」
レグルスの空色の瞳が、真剣にオレたちを見る。
「でも。これらの力はとても素晴らしいものだけど、同時に危険なものでもある。他人の本音や記憶を勝手にのぞくのは、いけないことでもあるからね」
そうか。その気があれば、オレたちはこの力を悪用できちゃうんだ。
それに、オレたちにそんなつもりはなくても、使い方を誤ってしまうことだって、あるかもしれない。
オレとトワはぞっとして言葉を失った。
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