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こめかみをおさえるオレ。あー、なんか頭痛がしてきた。でも。
「……本物の、魔法使いの弟子、か」
ぽつり、とつぶやく。
オレは、初めてつくも神ホテルで本物の魔法を見た感動を、思い出していた。
そして今、それと同じ感動と興奮が、じわじわとオレを満たしている。
確かにトワの言うとおり、本物の魔法使いの弟子になんて、そうそうなれっこない。
これって、すごいことだ。
「まー、悪くない、か!」
オレも案外、トワに負けず劣らず楽観的なのかも。
「決まりだな」
レグルスが満足げに言って、指をパチンッと鳴らした。
すると、スプーンやフォークやナイフ、ティーカップにポットの行列が、次々に飛んでやってくる!
続けて、鼻をくすぐる、あまいバニラの香りがただよってきた。
空飛ぶお皿に乗って登場したのは、数えきれないくらいのお菓子たち。
パンプキンパイに、レーズン入りのチーズケーキ、チョコたっぷりのエクレア、パステルカラ―のかわいいマシュマロに、フルーツの乗ったプリン・ア・ラ・モード……どれも宝石みたいに、輝いている。
「うわああ……!」
目の前でくり広げられる魔法に、オレとトワは歓声を上げっぱなし。
レグルスは立ち上がり、両腕を広げて高らかに叫んだ。
「さあ、パーティーのはじまりだ!」
きっとオレたちはこれからも、たくさんのつくも神に出会って、いろいろな魔法にめぐり合う。
そのたびに、とんでもない事件や困難に巻きこまれるかもしれない。
でも、そのときはきっと、みんなで力を合わせて乗りこえていくんだ!
オレとトワの不思議な日常は、まだまだ始まったばっかり。
<おわり>
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