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……それを見つけたとき。
オレとトワは、驚きのあまり、しばらく言葉をなくしていた。
驚いて当然だと思う。想像してみてほしい。
森が急に開けて、大きなヨーロッパ風のお屋敷が姿を現した、その光景を!
お屋敷っていうか……お城? 宮殿?
とにかく、そう言っていいくらい巨大で立派な洋館だった。だいぶ古びているみたいだけど、白い壁がきれいだ。
深い緑色の屋根は、よく見たら日本風の瓦が使われていて、びっくりした。
ヨーロッパの物と日本の物が混じることで、かえってシャレて見えるから不思議だ。
後からトワが、こういうのを「和洋折衷」って言うんだって教えてくれた。
ただ、白い壁はびっしりとツタがはっていて、あざやかな緑の葉っぱが壁の大部分を覆っている。そこはイバラ姫の物語に出てくる、魔法にかけられたお城みたいだ。
「──すごい……!」
オレは、やっと言葉が出た。興奮して、体が熱くなったのが分かる。
「なんだここ……! すっごい場所だ!」
屋敷を取り囲むのは、階段と同じく、植物がデザインされたアイアンワークの大きな門。
その門のすき間から、屋敷の敷地内をのぞくオレたち。
どうやら庭もあるらしい……全然手入れされている様子はなくて、ほとんど森と一体化している。
なのに、花が自由に咲き乱れていて、緑があふれかえっていて、絵みたいにきれいだった。
庭の真ん中には、それは広い池があって、透き通った水をたたえている。なぜかそこだけ、日本風のアーチ型の小さな橋がかかっていた。
へんなの。でもすごい!
池にたくさん浮かぶのは、ピンクや白のかわいい花たち。
「スイレンの花だ……! すごくきれい!」
ようやくトワも口を開いた。
目がきらきらして、すごいテンションが上がってる。
「スイレンだけじゃない、ダリアやサルビアもいっぱい咲いてる! すごい、すごいキレイだよセーヤ!」
「トワ、さっきから『すごい』しか言ってねーぞ」
オレは思わず笑った。
まあオレも似たような感じだけど。
未知の場所を発見してハイテンションだったオレたちは、少し落ち着いてから、重要なことを思い出した。
「そういや、トワ。ピアノの音は?」
「んー、今は聞こえない」
「だよな。さすがにここまで来れば、オレにだって聞こえるだろうし。あと、クロはどこいった?」
「えーっと……」
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