集団主義全体主義は諸悪の元

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 真一は高校生になってから一時的にも他者と同じ行動を取ることが忌まわしく思われるようになった。それと言うのがちょっと文学を齧っただけで周囲の者に俗物性を見出した為だ。だから皆と同じようにして集団行動を取ることに全くの不本意を感じ、自嘲する結果、甚だ照れてしまい恥ずかしくなる。したがって皆と踊らずに会場の外れの方で皆、ぜんまい仕掛けみたいだとシニカルに思いながら眺めていたのだが、盆踊り会場の雑踏から裕美と共に逃れるべく彼女の視界に入る所までやって来て囃子が鳴りやんだ所で気づいてもらおうと手を振ってみた。すると、裕美は真一に気づくなり彼の所へ喜び勇んでやって来た。 「ねえ、踊らないの?」 「うん、それより外へ出ないか」 「えっ、あっそうね!行く行く」  二人は中二の時から恋人同士なのだ。
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