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とある中学校の休み時間。
教師らが職員室で、次の授業ではどの生意気な生徒を当ててやろうかと
ほくそ笑んでいる頃、生徒らは教室で思い思いの時間を過ごしていた。
俺はと言えば、通路を挟んだ左斜め前に座っている幼なじみの美里の、
それはそれは可愛い 微笑む天使の姿に見とれていた。
(なんて可愛いんだろう。 なんて綺麗なんだろう。 このクラスの顔面偏差値 1人で上げているよな)
(この、広い広い地球上で美里パパと美里ママが出会って、そして美里が生まれた、この奇跡に感謝します)
(それに比べて、他の女子の質素な、素朴な顔ったらないわ……。 ま、良く言えば和風テイストか)
これはあくまでも俺の心の声なのだが、独り言のように実際に口に出してしまっていないか時々 不安になる。
「壮太ちゃ~ん、さっきから森下の顔 見過ぎだろ~」
同級生の慎吾が後ろからやってきてニヤニヤしながら俺の頭に腕を回し、軽くヘッドロックをキメながらグイグイ揺さぶってきた。
「はぁ? 見てねえし! なんで見なきゃなんねーんだよ、あんな女 可愛くねえし!」
「おや、おやおや~? 大好きなのに逆に悪口を言ってしまう、思春期だね~ 壮太ちゃん」
「はあ? 好きじゃねえし! って言うか、あんなおせっかい女 大嫌いだし!」
「お~い、森下~ 壮太が話があるってよ~」
慎吾は、あたかも遠くにいる人を呼ぶように口に手を当てて美里に言ったのだった。
「はぁ? おまえ何 言ってんだよ! 話なんてねえよ!」
女友達と楽しそうに話をしていた美里がこっちを振り返り「なに?なに?」って顔でやってきてしまった。
「なんでもねえよ! 来(く)んなよ!」
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