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道祖神さんのところまで来て俺が右に曲がろうとしたとき、美里に学生服の裾をクイッと引っ張られた。
「!?」
「壮太 ありがとう」
そう言い終わるか、終わらないかのタイミングで美里は少し背伸びをして、俺のホッペに軽く、チュッとキスをした。
「えっ!?」
美里はそのまま自分の家の方向に走り出し、少し行ったところでクルッとこちらを向いて
「バイバ~イ! また明日ね!」
とびきりの笑顔で、何事もなかったように手を大きく振ったらしい。
らしいと言うのは、あまりに突然の出来事に、俺自身がその後のことをはっきりと覚えていないからだった。
だからと言ってあの日のことを美里に聞くわけにもいかないし。
――あの日からなんだよな。 なんだか美里を意識してしまい、俺は思っていることと逆の態度をとるようになってしまったのは――
校門で待っている俺に、可愛い女の子がスローモーションで手を振りながらこっちに駆けてきた。美里がとびきりの笑顔で手を大きく振って走ってきたのだった。
「壮太~ 終わったよ~」
(カワイイ…… 可愛すぎるよ…… 子ネコちゃん)
「チッ、おせーよ! 置いて帰ろうと思ったわ」
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