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「バイバ~イ」
「おう、じゃあな」
(あっ、そうだ! キスだ! こういう時カッコいい大人ってのは、カッコいいキスをするものなのだ!)
長いと思っていた夏休みも始まれば一日一日どんどん終わりに向っているから、残り半分を過ぎたあたりからの早いこと、早いこと。
俺は真っ黒に日焼けして、同級生の慎吾よりも夏を満喫した男になるために山に、海に、川に、プールに、と遊びまくった。
夏休みも今日で終わってしまう、いや、ようやく終わってくれるという日、俺は学校で使う文房具を買いに近くのコンビニへ向かっていた。
(サイコロではない、落書き帳でもない、彼らには消しゴムとしての、ノートとしての本来の使命がある!)
(それらのアイテムをゲットするために勇者は町のコンビニへ旅立つのであった!)
ちょうど道祖神さんのところで、たまたま犬の散歩中の美里にあったのだった。 遠くからでもすぐに美里だと気づいたが、わざと下を向いて俺はギリギリまで気づかない振りをした。
1ヶ月振りの、少し日に焼けて大人っぽくなった美里の白いワンピース姿にドキッとして、それが西日の強い日差しと相まって、キラキラと眩しく光り輝いていて、俺は美里を直視することができなかったというのが下を向いて歩いた理由かもしれない。
「あ~ 壮太! なんか久しぶりだね。 近所とはいっても夏休み中は、なかなか会わないもんね」
「おう、まあな」
たわいもない話をしているあいだ俺は美里の足元にいる子犬を撫ぜて、犬の方から俺に懐いてくる、犬は優しい人がわかっちゃうプランをひそかに実行した。
「アハハ! なんだよ~ クッキー。 そんなに俺のことが好きなん? アハハ! アハハ!」
「う~ん、なんだかそうは見えないんだけど。 むしろ迷惑そうに見えるのはわたしだけ?」
「なに言ってんだよ。 好きなんだけど恥ずかしくて、嫌いな振りをしちゃうんだよな? クッキーも!」
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