第四話 最後の仕事

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 瞬時に無数の剣閃が煌めいた。  急所を狙った鋭い突きが統二を襲う。機動力ではナイフが上だ。  風刃はひたすら突きを繰り出す。ただ速く。より速く。  統二は大刀と氷のナイフで応戦し、捌ききれない攻撃は結晶で防いだ。 「動きが不規則な上に速いな。だがそれでも、お前の攻撃が私に届くことはない」  氷結の盾を前に、速さは意味を持たなかった。  ナイフによる攻撃は、全て弾かれ欠けた結晶が宙を舞う。 「……ちっ!」  風刃は苛立たしげに舌打ちすると、隙を作った統二の腹部の氷を蹴り宙返り。それによって再び距離をとる。  その後方―― 「そんな……どうして……」  へたり込んだ凛華は震える声で呟いていた。  内へ向かって凍っていく体の底で、なにかが熱を持ったように懸命に、強く祈りを囁く。 「お願いだから怪我しないで……黒瀬くん…………いえ……風刃、くん」  斬り合いに割り込むことのできない凛華。健気(けなげ)にも風刃の無事を案じている。  凛華の祈りが風刃の耳に届くと同時に、風刃は再び駆け出した。
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