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「あんたの父親は、亡くなる直前に当社『マーセナリー』へ依頼を出していた。娘を守るように。それによって、常にうちの調査派遣部がお前の周囲を見張っていた。だから今回のタイミングは偶然じゃない」
「そんな……そんなのって」
少しづつ現状を理解してきているようだ。
「ずっと平和であれば、手を引くつもりだったが、アーミーの殺意具現者が動くという情報を掴んで俺が派遣されたわけだ」
「じゃあ神社に来てくれたのも、私に近づいたのも、守ってくれたのも……」
凛華の瞳は不安げに揺れ、声が震えだした。
「――それが俺の仕事だ」
風刃にとって『最後』の仕事。
凛華は頬を歪め俯いた。
風刃の声は淡々としており、名残惜しさなど微塵も感じさせない。
「それでも……」
(なんだ。まだなにかあるのか)
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