第一話 日ノ國の巫女

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第一話 日ノ國の巫女

 この世界は理不尽だ。古来より争いが絶えず、憎悪と悲哀で満ち溢れている。  かつて、ありとあらゆる国を巻き込んだ戦争があった。  それは、全世界で多くの犠牲を強いた忌むべき過去。  人々はその戦争をこう呼んだ。  ――太平洋戦争――と。   太平洋戦争では、これまでに『寒露(かんろ)(こく)』や『中興国(ちゅうこうこく)』を破ってきた『日ノ國(ひのくに)』が、先進国である『(べい)(しん)(こく)』や『英州(えいしゅう)(こく)』と激突した。  史実は、『日ノ國』への核爆弾投下を機に終戦したとされているが、一部の真実は異なり秘匿されている。  ――それは、超常の異能力『殺衣(さつい)』を持つ傭兵『殺意具現者(さついぐげんしゃ)』たちの存在――  傭兵派遣会社『RA(リクルートアーミー)株式会社』と『WE(ウォーエンパイア)株式会社』から派遣された十人の傭兵たちは、その圧倒的な力によって『日ノ國』ら敵諸国を追いつめ、降伏させることに成功した。  今なお、調停者としての彼らの存在が世界の均衡を保つ。  しかし、その力の発現に必要なものは、『熾烈(しれつ)な殺意』だった。  (ゆえ)に怨恨の連鎖は無くしてはならないし、無くならない――
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