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「天沢」
「はい……」
気の抜けた返事しかできない。
「俺は……お前のことが好」
「はいそこまで」
今度は薫さんが咲野さんの口を手で塞いでいる。
「何すんだよ」
「もう遊莉は僕の手中に落ちているの」
えっ? そうなの?
「いや、まだだ。だからお前だって、今日は三人で来たんだろうが」
「それは竜一も、あの男の鼻っ柱をへし折りたいかなと思って、誘ったんだよ」
あっ、もしかして、パン屋で薫さんが耳打ちしていたのはこのこと?
「有り難うございます」
「どうした急に」
咲野さんが私の顔を覗き込んできた。
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