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振興建設株式会社 管理本部 総務部 進来桜乃
今更俺に名刺をよこしてどうするつもりだ。
だが裏返すと手書きでLIN☆のIDが書いてあった。
「やっぱ逆ナンしてんじゃんかよ」
何だか今日は頬が緩んで仕方がない。
正直、二十一の俺からしたら、二十七の女なんておばさん同然……だった。
だって桜乃が二十歳の時、俺は十四だぞ。まだ中学生だからな。
でも子供の頃の六歳差と、大人になってからの六歳差は全然違う。今はそう思える。
いつ俺が集荷に来るか分からないのに。まさか毎日作っていたわけじゃないよな。
もしそうなら全部食いたかった。
何を作っていたのだろう? どんな顔をして俺を待っていたのだろう?
胸がキュッと締め付けられる。
桜乃と一緒に食いたかったな。ずっと俺の隣に……って、何を考えているんだ。俺みたいなガキを桜乃が相手にするわけが……
金もない。二十歳過ぎても大人に毛が生えたようなもん。
どう考えたって釣り合わねぇよな。
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