No.27 観覧車

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「買ってくる。飲み物は?」 「オレンジジュースで」 「OK」 「極君、私も食べたい」 「……内村と先に行ってて」  渋々といった感じで、愛実は祐輔の後を追うように売店へと歩いていった。  何とも言えない気まずいムードが漂う。 「極君か。愛実のことも名前で呼んでいるの?」 「まさか! 有倉さんこそ。俺には名前で呼ぶなって言ったくせに」 「だってそれは……」  何でこんな会話をしているのだろうか。  まるで…… 「ヤキモチ」 「えっ」  心を見透かされた!?  けど神林君の顔は意地悪じゃない。 「お互いヤキモチを妬いているみたいだな」  優しい笑顔が心を揺らす。  気を持たすようなことは言わない、しないじゃなかったの?  聞きたくなる。   「ねぇ」  けどトレーを持ちながら、祐輔と愛実がこちらへ戻ってくるのが見えた。 「もう始まるぞ」 「うん」  結局何も聞けず祐輔の隣へ移動する。  後ろで神林君の声が聞こえてきた。 「いくらした? 払うよ」 「いいわよこれくらい。私はなんだし」  愛実は明らかに、彼女の部分を強調している。  神林君に撓垂れかかる姿を見ては胸がざわつき。さりげなく愛実から距離を取る神林君にホッとし。  そんな自分が嫌で嫌でたまらない。
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