No.3 林檎飴

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No.3 林檎飴

 家から外へ出たときにスマホが鳴った。 「もしもし」 『恵子ごめん!』 「洋子。いきなりどうしたの?」 『その……今日の夏祭り行けなくなった』 「えっ?」  まさかのドタキャン!? もう浴衣も着て準備万端なのに。 『実は彼が仲直りをしようって部屋に来ちゃって』 「……」 『だから本当にごめん!』 「いいわよ。じゃあね」  私は通話を切った。そして思いっきりため息をつく。  そもそも今日の夏祭りに行こうと言い出したのは洋子だ。  私を慰めるためとか言って。  二ヶ月前、二年ほど付き合っていた恋人に振られた。  多少合わない部分もあったけど、私ももう二十七だから結婚を考えていた。けどそんなんで上手くいくはずもなく……  あっさり振られた。打算的な恋愛なんて上手くいくはずがなかったんだ。
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