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No.4 浴衣
二十一歳といえば立派な大人の女だと私は思う。
それなのに……
「優子にその柄はまだ早い。こっちの金魚にしろ」
私を子供扱いしているのは近所の呉服店の若旦那、啓治三十七歳。
年の差十六。私が産まれた時、すでに啓治は高校生なわけで……
「はぁ……」
「何ため息ついているんだよ」
ため息つかせているのはどこのどいつよ。
「若い子には今、こんな柄が流行っているらしいぞ」
カラフルな色の浴衣をいくつか見せる。
「啓さんいる?」
年の頃は三十くらいだろうか? 女性客が店に入ってきた。
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