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「・・・ふ、ふざけないでよ!!こんな時に、何言ってるのよ!!」
「お気を悪くされたのであれば、申し訳ございません。しかし、職業柄、私は真実をお伝えしなくてはいけないので・・・。」
「うるっさいわよ!!ぶち壊すわよ!!」
王妃はワインが入った盃(さかずき)を投げ割りました。
鏡は、黙って王妃を見つめました。
「わ・・・わたしが・・・彼女を・・・愛するなんて・・・」
「女王様」
「そんなこと・・・そんな・・・こと・・・」
「ソフィア様」
自分の名前を呼ばれた王妃は、我に返りました。
「あなたがハンカチで顔を覆う時は、落ち着きたいときです。そうですね。」
「・・・何でもお見通しってわけね。ほんと、嫌な鏡・・・。」
王妃は、力なく肘椅子に腰掛けました。
「まさかとは思ったわ。彼女を初めてみた時から、変な気持ちになったの。急に血の繋がらない娘ができたことに戸惑ってるんじゃないのかって思って、彼女と距離を取ることにしたの。」
「しかし、気持ちは収まらなかったのですね。」
「えぇ。それどころか、変な気持ちはどんどん強くなっていった・・・ザクロをもらえるかしら。」
「どうぞ。」
ザクロは王妃の好物でした。王妃は一口含み、果肉をプチッと潰しました。
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