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王様は、あの一件から、コレクションをやめました。
城の者たちは、王様と話す回数が多くなりました。
それだけではありません。
王様のぶっ飛んだ行動は国民たちにも大ウケし、弱みを認める大切さを、我が身を用いて発信した王様を慕うようになりました。
王様は、もう1人ではありませんでした。
しばらくして、王様の元に封筒が届きました。
ジーナの退職願でした。
状況が読み込めない王様でしたが、退職願と共に1通の手紙が入っていました。
『王様
突然のことで、大変申し訳ございません。
本来であれば、王様へ直々に申し出をすることが礼儀であると思いますが、私には、それが出来ません。
なぜなら、王様は私にとって、特別な存在であるからです。
王様はあの日、私の名前を覚えて下さっていました。
田舎者の私に、耳を傾けて下さいました。
ご自身の身を犠牲にし、大衆の前で声を上げて下さいました。
その1つ1つから、王様の優しさを感じられます。
場所は変わってしまいますが、どうぞ、お体にお気をつけ下さい。
私にとって、王様は、1番賢明な方です。
ジーナ』
王様は、泣きました。
王妃が亡くなった時のような、大切なものを1つ失ってしまった悲しみでした。
そばにいた女中や、兵士も、涙を流していました。
全ての人が、王様を慈しみ、優しさで包みました。
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