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「彼女は、日に日に綺麗になった。美しい容姿は国中に知れ渡った。それだけじゃない。彼女は、誰にでも優しくて、信頼されていた。みんな彼女に注目していたわ。」
「だから、嫉妬心が芽生えたと。」
「そう思いたかったわ。」
王妃は、ステンドグラスで彩られた窓を開けました。
正午を回った頃でしょう。柔らかな日差しが、城の庭に降り注いでいます。
「毎日、そこから彼女をご覧になっていましたね。」
「そうね・・・彼女の笑顔。彼女の歌声。私も、気づいたら、彼女に注目していたのかもね。」
今は誰もいない庭を眺め、王妃は頬杖をつきました。
「私って馬鹿ね。何もならないことが分かってたのに、余計に彼女を罵ってしまった。挙句の果てに、永遠に自分のものにしようと・・・」
王妃の黒い瞳から、涙が一筋こぼれました。
鏡は、王妃の顔をじっと見つめました。
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