そのスイッチは…

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運の悪いことに嫌味なことばかり言う担任に捕まってしまい、成績が良くないだの、授業態度が良くないだの、ありふれた説教を受ける羽目になった。 確かに、俺の成績は決して『優秀』と言えるものではないが、学年全体で見れば真ん中よりも少し下位くらいの成績であり、それより下位の生徒はそいつらだけで一クラスの人数に値するくらいにはいる。  普段の授業だって、決して熱心に聞いているわけではないが、授業開始後に前列でありながら教科書やノートなどに隠れることなく机に突っ伏して堂々と寝る奴、机の下で授業中は使用禁止とされているはずのスマートフォンを隠しながらアプリを起動させている奴、挙げ句の果てには、隣の席の友人と周りに気を使うことなく堂々とお喋りをする奴までいる。 そんな奴らに比べれば、周りに迷惑をかけることなく、授業を聞き流しながらただ呆けているだけの俺なんて、比べ物にならないくらいにマシであるはず。 にもかかわらず、この理不尽な教師はそいつらではなく、俺に偉そうに説教をするのは何故か? その答えは簡単、俺に『何の取り柄もないから』。
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