転生白雪姫

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 一方、暗殺を告げられた兵士は戸惑っていた。白雪姫の暗殺だと思っていたからだ。キャサリンって誰?状態。  キャサリンの居場所と特徴を伝えられたけど、その特徴がどうも腑に落ちない。なぜなら、兵士は絶世の美女を想像していた。女王が言う特徴がそれとはかけ離れていた。  納得しかねつつも兵士はキャサリンのもとへ。そこで目の当たりにしたキャサリンは、どう見たって美女じゃない。  隙間だらけの平屋に住んで、服と言えない布を身にまとい。枯れ枝のようにパサパサの髪の毛。旧石器時代の人間かと思う姿。だけど、体はナイスバディーだった。  兵士は混乱していた。女王がこれまで間違ったことなど一度もないからだ。兵士は想像した。女王は今まで美人を目の敵にしてきたけれど、キャサリンに対してはナイスバディーに嫉妬を抱いたのではと。  女王もなかなかいい年である。顔は化粧でごまかせても、肉体の衰えは隠しようがない。きっとそうだ。そうに違いない。自分を納得させるように言い聞かせるのだが、やっぱり強烈な顔のインパクトは拭えなかった。女王が間違っているとしか思えなかった。  しかし、女王に間違いなんて指摘できない。かといって言われた通りキャサリンを殺しても、後で別人だと気づいたときに罪を被るのは兵士である。  八方塞がりな兵士。キャサリンには女王の暗殺計画を暴露して、森へ逃がしてやって味方を装い。女王には証拠として求められたキャサリンの心臓を豚の心臓とすり替えて、暗殺成功を装った。  玉座にて兵士から報告を受け、証拠の心臓を確かめた女王は喜びに震えた。女王は人の心臓なんて見たことがなかった。豚の心臓だなんて気づかなかったのだ。  すぐに自室に向かうと、女王は鏡に問いかけた。 「世界一美しい女性は誰?」 「キャサリン」  女王は兵士の偽装行為を悟った。だけど、キャサリンを殺せなかったのは、美しさに魅了されたのだと間違った解釈に陥った。  女王は自分がこれまでしてきたように、キャサリンが兵士を使って暗殺する。そう思い込んだ。  先に殺さなければならない。兵士を殺すのは簡単だ。だけど、ためらった。なぜなら、女王は世界一美しいわけじゃない。もう、強引な手法はまかりとうらない。そう思うほど、女王は自身の美貌に自信を失っていた。  兵士を殺すのは後回し、先に殺すべきは世界一美しいキャサリンだ。染吉にキャサリンの居場所を聞き出して、今度は兵士に頼らず、自ら殺すことに。キャサリンの魅力に寝返られたら困るからだ。  魔法の本で老婆に変身。毒リンゴを用意した。
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