貴方は私を好きだから

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私は貴方が嫌い。いつも優しいし、私のことを好きだと言ってくれるし、必要としてくれる。だけど嫌い。 私は昔から、他人に必要とされてこなかった。父親には暴力を振るわれ、母親はヒステリーを起こし、「あんたなんか産まなきゃ良かった」と言われた。こうやって育てられたから、人と関わることが怖かった。昔から必要最低限の会話しかしてこなかったし、友達も恋人も多くはいらないと思っていたから、無理してつくろうともしてこなかった。ただ空気になろうと常に努めていた。 だから、私に声をかけてくれたときは驚いたけど少し嬉しかったんだ。書類の字が丁寧ってだけでも、なんか救われた気がした。こんな私にも、人に褒められるような何かはあるんだって。 でもね、だからって無条件に人に愛されることを喜べるほど単純じゃないんだ。かわいくないよね。「素朴なかわいらしさに惹かれた」って言ってくれたよね。これも、本来なら嬉しいんだろうけど、なんでかな、気持ち悪く感じてしまったんだ。私はきっと、愛されるということを忘れてしまったのだと思う。親には嫌われ、まともに居場所のない青春を送ってきたから、自分の価値を未だに見出せないの。私のことを好きって言われて、貴方は見る目がないなって思っちゃった。 私は私を認められないの。今までも、そしてこれからも多分。だから私は、貴方が私を好きなことを理解できない。これが私の貴方を嫌いな理由。
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