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「『私』のせいよ」
もう一度、私は言った。
「わかっているはず。その人は、『私』のせいで死んだの」
そうだ、彼を信じられなかったことが全ての始まり。彼を疑い、罵倒し、殴って、そして突き放した。
その結果がこれだ。どうして――などと、そんな身勝手なことを何故言えるのか。何故、言えたのか。
「認めて」
「嫌よ……嫌!」
女が叫んだ瞬間だった。背後で足音が聞こえた。
それも、一人や二人のものではない。大勢だ。
女はぎょっとした顔で辺りを見回す。
「来る……あいつらが」
ゆっくりと振り返る。
そこには、殺意を込めた瞳でこちらを睨み付ける四人の男たちの姿。それぞれが、女に向け刀を構えている。その全てが血に濡れていて、彼をあんな様にしたのはこいつらだとすぐにわかった。
「あ……」
男たちが刀を振り上げる。
女の顔が、恐怖と絶望の色に染まっていく。
彼岸花の海に広がる血だまりのように。徐々に、だが確かに――――。
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