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「はははははははははははははは!」
――――だって、これほど嬉しいことはないでしょう?
私の愛しいあの人を手にかけた憎き男たちを、この手で地獄に送ってやることができるのだから。
憎悪も殺意も、そして怨みも。今ここで凡てを清算できる。
私の中で膨れ上がっていく負の念を、残らず洗い流せるはずだ。
――――嘘。
そんなこと無理だって、自分が一番よくわかっているのに。
それが、どうしようもない転嫁だと自覚しているというのに。
「……?」
ふと遥か遠くで何か大事な言葉が聞こえたような気がしたが、濁ったノイズのようなものに邪魔されて満足に聞き取れない。
いや、聞こえていようが聞こえていまいが関係ないのだ。
私は、もう止まれない。……止まらない。
「ああ、お前たち……死んでくれ。この人のために……私のために死んでくれ」
でないと、私は認めなければならないから。
自分自身を許せなくなってしまうから。
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