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それがどういう理屈で起きているのか、とうの『私』でさえ検討もつかなかった。
ただ一つわかることは、この体は既に常人のそれではないということ。技術も熟練も関係ないほどに、『私』が素早く相手の首を斬り裂いた。
ああ、それさえわかれば良い。あとは同じことの繰り返しだ。
刀にこびりついた血を舐める。
この鉄の味こそが『私』自身の怨みの味。
なんと耽美でーーーー悍ましいことか。
「憎い、憎い、憎い、憎い……赦してなるものか……」
ただ、滅茶苦茶に刀身を叩きつけていく。
癇癪を起こした童のように、対象がぐちゃぐちゃになるまで。
斬る……というよりも、潰すというほうが正しい。
人ならざるモノへと変貌を遂げた、まさに鬼の如き力を最大限に駆使して、『私』は男たちの抹殺を開始する。
「あはは、はははははは!」
彼岸の海に狂笑が響く。
美しい花畑に血の雨が降りしきる間、止めどなく果てもなく。
男たちの血を絞り尽くすまで、凡てが紅に染まるまで。
この夢は続く、どこまでも。
そうして、『私』は溶けていった。
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