79人が本棚に入れています
本棚に追加
「決まっているだろ」
――――瞬間、路地を取り囲む塀に無数の黒い影が蠢いた。
男は腰を落とし、周囲に鋭く視線を走らせる。
「蜘蛛狩りだ」
鍔にかけた指を勢いよく弾く。
引き抜かれる白刃。
周囲を凄まじい速度で飛び回る黒い影、影、影――――……。それらが動き回る度、カチカチ、ギチギチと不気味な音が漏れる
――――数は三。
男は刀を上段に構え、自らを狙う影から目を離さない。
「お前らが相手をしてくれるのかい? 嬉しいねぇ」
男のその言葉に呼応するように――――影どもは一斉に飛び掛かる。
最初のコメントを投稿しよう!