お侍さん

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 怨憑きに関して深入りはするなと言われたが、これは烏の疑問にも通ずることなのだ。ならばこうして、実物を見せるのが一番手っ取り早いだろう。 「……昔、祖母から贈られた物です。私はこの人に、ずっと憧れてた」  長い沈黙の後、ようやく私はようやくそれだけを口にした。  まるで、親に秘密を見られた幼子のように視線を下に向けたまま。別に悪いことをしたわけでもないというのに、何故か後ろめたい気持ちになる。 「ここに描かれているのは……あなたなの?」  もしそうなら。  烏は、私の家と何か関係がある存在なのではないだろうか。大昔、この掛け軸を残した人物と烏が知り合いだったとしたら。烏が何年も何年も私の家を見守る、守り神のような存在だったとしたら。  だからこそ、私の危機に駆けつけてくれて――――などと、夢見る少女のようなことを考えてしまう。
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